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高尿酸血症・痛風

高尿酸血症・痛風の検査・治療|むさしこやま駅前内科・糖尿病クリニック

高尿酸血症・痛風

高尿酸血症とは

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高い状態をいいます。具体的には、性別・年齢を問わず血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。

一般的に尿酸値は女性の方が低い傾向にあり、圧倒的に男性に多く見られます。

尿酸とは

ビール

尿酸とは、プリン体という物質が肝臓で分解されてできるものです。

プリン体というのは、体の細胞の中に含まれている「核酸」という物質の主成分ですが、核酸は運動したり臓器を働かしたりするのに欠かせない重要な役割をしています。

プリン体の約8割は体内で作られ、残りの2割は食べ物で摂取をしていますが、核酸として利用されなかったプリン体は肝臓で分解され、尿酸に置き換わり、尿や便として体外へ排泄されます。

1日で排泄できる尿酸の量には限界があり、その限界量を超えて尿酸が作られてしまうと、尿酸はいつまでも体内に留まったままとなり、結晶化して全身に悪影響を与えてしまいます。

高尿酸血症の代表的な合併症

尿酸値が高いだけでは特に症状は出てきませんが、尿酸値が高い状態を長期間放置していると様々な合併症が起こってしまいます。

例えば、尿酸が結晶化して関節に溜まると「痛風発作」を起こしたり、皮下組織に溜まると「痛風結節」というコブのようなものを作ったりします。また、「尿路結石」も、尿酸が結晶化して尿路に詰まることで引き起こされる病気です。

痛風

高尿酸血症の代表的な合併症で、血液中に溶け切らない尿酸が結晶化し、関節に溜まることで急性の関節炎を引き起こしてしまう病気です。「風が吹くだけで痛い」と表現されるほどの激痛が発作的に起こり、特に足の親指の付け根付近に多く発生しますが、ひざや足首に生じることもあります。こうなると歩行もままならない程、日常生活に大きな影響を与えます。この激しい痛みは数日間続きますが、次第に治まってきます。ただし痛みが改善したとしても、原因となる高尿酸血症が改善されていなければ結晶化した尿酸は体内に残り続けていますので、痛風発作の再発や他の合併症を引き起こすことにもつながります。

痛風結節

結晶化した尿酸が皮下組織に溜まると、コブのようなものが生じてきます。この痛風結節はまれに脊髄にも溜まることがあり、神経症状の原因になることもあります。

痛風腎

結晶化した尿酸が腎臓に溜まることで、炎症を起こした状態です。高血圧症など腎臓に負担をかける他の合併症も持っている場合には腎臓の機能が低下しやすくなります。腎不全の状態になってしまうと、場合によっては透析治療を一生続けなくてはいけなくなります。

心血管疾患

明確な因果関係は未だ不明ですが、高尿酸血症である状態が心筋梗塞のリスク因子であるということが分かってきています。

高尿酸血症の治療

実は高尿酸血症の原因は、食事や飲酒などの生活習慣による影響は2~3割で、尿の尿酸排泄機能の低下や尿酸の産生過剰など、遺伝的な要素も含めた体質的な影響が残りの7~8割を占めていることが分かっています。つまり、高尿酸血症の程度によっては食事や飲酒などといった生活習慣の改善だけでは治療目標が達成できない場合もあります。そのような場合、飲み薬による治療も組み合わせながら進めていきます。

主な薬物療法

一度でも痛風発作を起こしたことのある場合は関節内に結晶化した尿酸が溜まっている状態ですので、この結晶を溶解消失させるために、血清尿酸値を6.0mg/dL以下でコントロールすることが望ましいです。この場合には食事療法だけでは改善が難しいため、薬物療法を組み合わせる必要があります。また痛風発作を起こしていなくても、血清尿酸値が9.0mg/dLを超えるような場合には薬物治療をお勧めしています。

高尿酸血症で用いる薬(尿酸降下薬)には以下に2種類に大きく分けられます。

  • 尿酸が過剰に作られるのを抑える薬(尿酸生成抑制薬)
  • 尿中への尿酸の排泄をうながす薬(尿酸排泄促進薬)

それぞれ、患者さんの状況を確認しながら主治医が適切な薬を選択して処方いたします(②については、過去に尿路結石を起こされたことのある方にはお勧めできません)。

また、尿酸が尿路で結晶化して結石になるのを防ぐ尿アルカリ化薬を併用することもあります。

痛風発作時の治療

痛風発作を起こした場合には、まずは急性的な患部の痛みや腫れを抑える治療を行います。発作中の急激な血清尿酸値の変化は痛風発作の症状をかえって悪化させる場合があるため、尿酸降下薬による治療は発作が治まった後に開始します。尿酸降下薬は生活習慣の改善をはかると同時に少量から使い始め,緩やかに尿酸値を下げていきます。

痛風発作は再発の可能性が非常に高い病気です。薬物治療で尿酸値が下がったからといって元の生活に戻ってしまうことなく、生活習慣の改善とその継続に前向きに取り組みましょう。

生活習慣の改善について

他の生活習慣病と同じく、日常生活においては食事と運動、ストレスの溜めすぎに注意しましょう。食事量を摂りすぎのないようにし、減量することで尿酸値を改善することができます。1日3食を規則正しく、バランスよくとることが大切です。

食事療法

痛風発作を起こしていない場合や、血清尿酸値が7.0mg/dL台の場合には食事療法のみで改善を目指せることもあります。

食事療法の基本は、プリン体を多く含む食品の摂取を控えることです。

プリン体を多く含む食べ物

  • レバー類
  • 白子
  • 一部の魚介類(エビ、イワシ、カツオ)など

また、乾燥品である干ししいたけや魚の干物は水分量が少ないため、相対的にプリン体の含有量が多い食品となります。

また、アルコールもなるべく控えましょう。アルコールの代謝過程で血清尿酸値を上昇させてしまいます。中でもビールはさらにプリン体を多く含んでもいますので要注意です。

逆にプリン体が少ない食品には牛乳やチーズなどの乳製品、米やパン、うどん、そば、野菜などが挙げられます。

特に野菜・海藻・牛乳などのアルカリ性食品は、尿路結石の発症を予防することが分かっています。

運動療法

適度な強度の有酸素運動を行うことにより、肥満を解消・予防し、また合併していることの多い高血圧・脂質異常症・糖尿病などの改善にもつながります。

運動種目

有酸素運動を中心とした種目として、ウォーキング、水泳、サイクリング、スロージョギング(歩くような速さのジョギング)など、大きな筋肉をダイナミックに動かす身体活動がお勧めです。

運動時間、頻度

1日30分以上の運動を毎日続けることが望ましいです(少なくとも週3日は実施できると効果的です)。

また、1日の中で短時間の運動を数回に分け、「合計30分以上」でも問題ありません。(例えば、10分間の運動を3回実施で合計30分間にするなど)

運動により大量の汗をかき、そのままにしていると血液が濃縮して血清尿酸値が上がったり、尿が濃くなって尿酸が溶けにくくなったりします。汗をかいたら、水分を十分にとるようにしましょう。

健康診断で血清尿酸値が高いと指摘された方や辛い痛風発作でお悩みの方は当院までご相談ください。