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原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症|むさしこやま駅前内科・糖尿病クリニック

原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症とは

原発性アルドステロン症は、アルドステロンという血圧の調整に関わるホルモンが過剰に分泌される病気です。
アルドステロンは「副腎」という腎臓の上にある小さな臓器から分泌され、ナトリウム(塩分)を体内に保持し、代わりにカリウムを体外に排泄することで血圧を維持する働きがあります。しかし、アルドステロンが過剰に分泌されると体内の塩分濃度が高くなってしまい、その結果血圧が必要以上に上昇し、結果として高血圧の状態に至ります。
元々血圧が低い方では、高血圧というほどは血圧が上がらない場合もあります。しかし、アルドステロンが多いだけで、心筋梗塞や不整脈、また脳出血・脳梗塞の発症頻度が高くなることがわかっています。
また、アルドステロンの過剰な分泌によりカリウムが必要以上に体外に排泄されて低カリウム血症という状態になることもあります(低カリウム血症では、こむら返りがおこりやすくなったり体に力が入りにくくなります)。

原発性アルドステロン症とは

原発性アルドステロン症と
高血圧の関係

高血圧には本態性高血圧(いわゆる高血圧)と二次性高血圧があります。
本態性高血圧は高血圧患者の約90%を占めます。高血圧となる基礎疾患をもたない、原因が明らかでない高血圧をいいます。喫煙や肥満、加齢、ストレス、運動不足、睡眠不足、塩分摂取過多など様々な要因が考えられます。
残りの約10%は二次性高血圧(血圧が高くなる原因が特定できる高血圧)です。その中でも、特定のホルモンが過剰になることで血圧が上昇する「内分泌性高血圧」は、その原因ホルモンを正常化することにより高血圧の治癒も可能な場合があります。内分泌性高血圧は診断が遅れると本態性高血圧の患者より合併症をおこしやすい傾向にあるため、早期診断と早期治療が重要とされています。
原発性アルドステロン症は内分泌性高血圧の代表格で、日本人高血圧患者約4300万人のうち約5%を占めるとされています。

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原発性アルドステロン症の
検査方法と診断

アルドステロンは、腎臓から作られるレニンという物質によって分泌量の調整がなされています。体内の水分量が足りなくなって血圧が下がった時にレニンが作られ、その結果アルドステロンの分泌が促され、血圧が上がるという仕組みです。
原発性アルドステロン症ではレニンが低値にも関わらず副腎で勝手にアルドステロンが作られる疾患です。
したがって、原発性アルドステロン症の疑いがあるかどうかは、血漿のアルドステロン濃度とレニン(レニン活性)を測定し、アルドステロン/レニン活性比(ARR)により確認します。原発性アルドステロン症ではレニン活性が低いにもかかわらずアルドステロン濃度が高い状態なので、ARRが高くなります。具体的には、ARRが200以上かつ血漿アルドステロン濃度60pg/ml以上の場合は原発性アルドステロン症を疑います。

※ARR200という値は、血漿アルドステロン濃度の単位がpg/ml(CLEIA法)、血漿レニン活性の単位がng/ml/hrで計算したときに用いる値です。

原発性アルドステロン症が疑われた場合、次は診断のために「負荷試験」というホルモンの検査を行います。ここでは詳細は割愛しますが、カプトプリル負荷試験、生理食塩水負荷試験、フロセミド立位負荷試験などがあり、当院ではカプトプリル負荷試験のみ外来で実施が可能です。
また、原発性アルドステロン症が疑われる場合には、腹部のCT検査あるいはMRI検査を行い、副腎に腫瘍がないかどうかを確認します。

原発性アルドステロン症の
治療

原発性アルドステロン症では、過剰に分泌されているアルドステロンを正常化する、あるいはアルドステロンの働きを抑えることによって血圧や血清カリウム値の改善が期待できます。

手術による治療

副腎腫瘍から過剰にアルドステロンが作られることが原因で原発性アルドステロン症を来している場合には、手術で副腎を摘除することにより完治が望めます。特に若年女性や高血圧罹患歴が短い人は高血圧の治癒も多くみられます。
ただし、副腎ではアルドステロン以外のホルモンも作られており、それらはすべて生命の維持に不可欠なホルモンです。片方の副腎のみを摘出することで大きな問題を来すことはほとんどないですが、両方の副腎を摘出することはメリットに対してデメリットが非常に大きくなり、悪性腫瘍が疑われる場合などを除き、原則行いません。
また、副腎に腫瘍があってもそれがホルモン非産生性(アルドステロンを作っていない)の場合も多く、一方でCT検査やMRI検査で見つけられないほど小さな腫瘍からアルドステロンが過剰に作られているというケースもあります。そのため、手術を希望される場合には、本当に腫瘍のある方の副腎から過剰なアルドステロンが作られているのかを確認する検査(副腎静脈サンプリング)を実施し、最終的な手術の可否を判断する必要があります。
なお、副腎腫瘍の多くは良性であり、副腎腫瘍があるからといってすべてに対して手術を行う必要はありません。手術を検討するのはあくまで「原発性アルドステロン症の治癒が見込める」という場合のみです。

  • 精密検査の結果、手術適応とならなかった方
  • CT検査・MRI検査で明らかな副腎腫瘍がなかった方
  • 手術による治療を望まない方
  • 高齢者などそもそも手術リスクが高い方

以上のような方に関しては、内服薬治療が選択されます。

内服薬による治療

手術の対象とならなかった場合や手術を希望されない場合には、アルドステロンの働きを阻害する薬(アルドステロン拮抗薬)を用いて治療し、血圧の改善をはかります。アルドステロン拮抗薬だけでは血圧のコントロールが不十分な場合も多く、そのような場合には他の血圧降下薬も一緒に使用します。

当院では、ホルモンに関連する病気(内分泌疾患)の専門医が原発性アルドステロン症の検査・治療を行います(特殊な検査や治療を必要とする場合には、必要に応じて精密検査ができる適切な専門医療機関をご紹介させていただきます)。
高血圧の方や原発性アルドステロン症に関して気になることがある方は、お気軽に当院までご相談ください。