低血糖の症状の出方には個人差があり、人によっては低血糖の状態でもなかなか症状が出ない場合もあります(このような場合を無自覚性低血糖と呼びます)。このような人の場合、血糖値がかなり低くなった時に突然意識障害や昏睡状態に陥るため、特に注意が必要です。有事の際にはすぐに医療機関に連絡が取れるようにしましょう。
基本的な応急処置
低血糖の自覚症状が出現した場合、すぐにブドウ糖 (錠剤やゼリー状になったものもあります) を10g、あるいは砂糖(ショ糖)20g程度を摂りましょう。または同等量の糖を含む清涼飲料水 (例:コーラなど) を飲んだり、アメやチョコレートを食べたりして、血糖値を上げるようにしましょう。ただし人工甘味料は血糖値を上げる効果がありませんので、ご自宅などに準備する場合、事前に確認をするようにしてください。
糖尿病治療薬のうち、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用しているとき
必ずブドウ糖を摂るようにしましょう(砂糖(ショ糖)は吸収されにくい状態となっているため、速やかな血糖値の改善が得られません)。
自分で対処するのが難しいとき
意識がもうろうとしているような時はご自身で低血糖の対処を行うことが難しくなるため、万一の場合に備えておくことが大切です。例えば外出時には糖尿病連携手帳を普段から携帯したり、ご家族に低血糖のことやその対処方法について知っておいてもらいましょう。
自動車の運転をされる方
インスリン治療中で自動車の運転をされる方は、運転前に血糖値を確認するようにしましょう。自動車運転中の低血糖発作は大事故につながる場合がありますので特に注意が必要です。
グルカゴン点鼻薬が処方されている方
2020年から、低血糖に対してグルカゴンの点鼻薬が使用できるようになりました(それ以前は注射薬しかありませんでした)。無自覚低血糖を頻繁に起こす方に特に有用です。使用に際しては、あらかじめ当院あるいは専門の医療機関で指導を受けていただくことを推奨します。また、お出かけなどの際は、必ずこの点鼻薬を持ち歩くようにしましょう。